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ギャンブル依存症

全国クレサラ対協の『2008クレサラ白書』を引用しながら、ギャンブル依存症の問題について考えてみたい。ギャンブル依存症者は、全国に200万人ほどいると推測されている。依存症者は、多重債務に陥って発覚するケースが多い。ギャンブル依存症についての社会の認知度は低く、いまだに「本人の意志の弱さ」が原因とみる傾向が根強く、予防や回復に向けた国の対策の動きも鈍いのが実情である。多重債務問題に取り組む弁護士たちは、全国クレサラ対協のなかに依存症問題対策全国会議を発足させた。国にギャンブル依存症への保険適用を働きかけつつ、「依存症は病気。正しい認識を」と市民に理解を促す方針である。

『ギャンブル依存症』(日本放送出版協会、2002年)の著書がある田辺等医師(北海道立精神保健福祉センター部長)は、「自分をコントロールできないほどギャンブルにふけるのは、意志の問題ではなく病気」だとする。ギャンブル依存症は、借金を重ねて仕事や家庭に大きな影響が出ても、なおギャンブルから抜け出せない症状で、世界保健機関(WHO)も病気として認定している。依存症者は借金をしてでもギャンブルに没頭する。ギャンブルの資金に充てようと借金を繰り返すため、依存症者のほとんどが多額の債務を抱えてしまう。借金の原因のうちギャンブルが13%を占めているという全国的な統計があるが、それについては、「これは氷山の一角にすぎない」という。

借金苦から詐欺や横領などの犯罪を起こす場合もある。ギャンブル依存症者の回復施設「ワンデーポート」の中村努施設長によると、「依存症者は本人もわからないうちに道徳心がなくなり、犯罪に走ってしまう」とし、「本人は病気だと認めないのが、この病気」であり、依存症者は「いつでも止められる」と思い込み、もう自力で抜け出せない状況に陥っているとは夢にも考えないという。家族も依存症者とともになんとか問題を解決しようと苦慮し、本人以上に深く苦しむ。その結果として、離婚など家庭が崩壊することも多い。強度のストレスから中高年になってギャンブル依存症になる人も多く、原因は本当にさまざまで、「カジノなどのギャンブル施設や簡単にお金が借りられる環境が近くにあることもよくない」と指摘されている。